from heart beat

観たものについて書いたり書かなかったりします。

たつルドの好きなところ全部書く

下書きに入れた状態ではタイトルのお尻に「2019」が付いてました。「2020」版も書くだろうと思ってたから。
来年観れない上に映像にも残らないならオタクが文章で残すしかない。ということで、たつルドの好きなところを頭からシーンごとに順を追って全部書きました。長いです。

「たつルド」とは

俳優木村達成さんが2019年の東宝エリザベート」で演じたルドルフの勝手な愛称。
参考:きょもルド(京本大我さんのルドルフ)、りょんルド(三浦涼介さんのルドルフ)

「我ら息絶えし者ども」

・ルキーニが登場人物を亡霊として呼び出して物語を始める曲。たつルドは終始目に熱が宿っていて、生に未練ありまくりなルドルフをここで作ってくれたので、二幕の自殺や「悪夢」と繋がってきます。好きだ。
・下手側の棺から這い出てきて立ち上がったときの眼力。亡霊だけど、何かに訴えかけるような目をしている。眉間にしわが刻まれていて、スッキリ死んで亡霊になった訳じゃないというのが分かる。
・「悩み苦しみ」で腕を左右に振り上げる動きがきれい。
・「ママーーーど~こに~~!帰って~~~!」と歌う子ルドを見る表情の芝居が天才。全編通して、青年ルドと子ルドが共演する場面はここだけです。ママに会えず嫌いな剣や射撃の稽古をやらされていた自分の幼少期。寂しさ、不安、不満でストレス過多時代の自分を見ているんです。この「帰って~~~!」で子ルドに向かって手を伸ばして、青年ルドも「ママぁ……」って今にも泣きそうな顔になるんですよ。胸をグワッと掴まれる。
・「ママと僕は似ている」の「m」の強さ。「分かり合えるはずだった」の「ttttったアーーー!」になるところ。歌い出しの「ママと」は前の休符を聴いてる側にしっかり感じさせる歌い方で、続く一節も言葉が明瞭に聞き取れる。
・「誰も知らない真実エリザベート」の「知らない」、「エリザベート」の腕の動き。傾いた天秤みたいに腕を少し斜めに上げてぐるんと回す振付の、肘や胸をしっかり張ってるところ。
・ルキーニの「皇后は死を愛し、死も彼女を愛した」あたりの、バックに雷が鳴ってるときのガクガクした動き(伝わって)。ここ、三人のルドルフで動きが全然違って驚いた。ゾンビみたいに上半身を折り曲げたポーズが特に好きだった。
・「エリザベッエリザベッ」の胸を突き出して肩を左右に揺らす動きがなんかもう死ぬほど好き。上半身がよく動いてて好き。
・曲終わりの「ダダダッダダダッダダダッダダダダダダッ!」で、上下に開いた腕をスライドさせる動きがあるんですけど、パーにした手の強さと、ストップさせるときのガガッ!の感じが超好き。

ハンガリー訪問

・本役のルドルフではなくハンガリー市民として登場するいわゆる「バイト」。足が長い。
・一生懸命に市長のお話を聞くきょるん♪とした目、キャワ~。
エリザベートを狙った銃声にビビる姿が可愛い。必死に体を丸めて可愛い。隣の真瀬はるかさんに「コワイ…」と頼る姿が可愛い。
・最初の頃は割と大人しくしてたんですけど、見た限り2回ほど持ってる旗を食べるという奇行に走る。あれはなんだったのか。隣の男性アンサンブルさんに「やめろよ」みたいにツッコまれてましたw

「ミルク」

・同じくバイト。こちらは「ミルクがない!我々は飢えているのに国王は何をやってるんだ!」と怒る役。足が長い
・ミルクの缶を両手で抱きしめるように持っていて可愛い。
・隣のおじさんにダメ元で「あの…ミルク…」って求めるけど「うちも無いよ」と手でシッシされて落ち込む。かわいそう。
・曲の歌詞は「赤ん坊が」「子どもが」となってるけど、達成くんは弟妹のためにミルクが欲しいんだろうなあ。「兄ちゃんがミルク買ってきてやるからな!」って家族に言って出掛けたんだね…つらい。
・「ミルクがない」という状況への戸惑いから、だんだん怒りに変わっていくまでの表情がいい。
・ラストは上手端でキメがあるんだけど、目深に被っていたキャスケットを上げて目がよく見えるように工夫してるところが好き。
・前髪がセンター分けで可愛い。

ホーフブルク宮殿の廊下

・青年ルドとして登場。父フランツを批判する記事を新聞に書いたことが本人にバレる。
・最初からフランツに対して不満爆発の顔で最高。ルキーニには「国を憂う青年皇太子となった」と紹介されるんだけど、「憂う」っていうより現状をもっと重く見て焦っているたたずまい。
・フランツに「お前が記事を書いたそうだな」と言われ、「知らない!」と言い返すところでフランツに向き直る。反発心が表れてて好きだった。
・「ママと同じ意見が間違いだというの」の「mmマ」。「このままでは崩壊」の「ほうかい」の「kkか」。全体的に滑舌が激しくて好き。
・「ママのこと見捨てた理解せずに」の、「僕はママのこと分かってるけど、あなた(父)は分かってないでしょう」ってマウント取りにいってる感。
・「憎しみがァァーーー!」の突き抜けた声。ビブラートなしで空間を真っ直ぐ切り裂くような歌い方が良かった。
・平方フランツとはまず見た目が似ていて、親子~という感じ。近い存在だからこそイライラしてるようだった。
・万里生フランツとは、ああこの親子絶対仲悪いと一目で分かる。仕事に追われ家族を放置する父を見てきて、自分はこうはなりたくないとずっと思ってきてそう。会話が少なそう。

「HASS」

・国民の思いに寄り添おうとしている。国民が人種差別でこんなに憎しみ合う現状を見て心を痛めている表情がとても良い。と同時に、明確な憎しみのもとに集まった人間の恐ろしさに怯えている。
・憎しみにかられる国民に「目を覚まして!」って手を広げて訴えかける真っ直ぐさが好き。でも一人で立ち向かったところで無力…。
・フランツに「これがあなたの治める国の姿です!」とでも言うように手を広げて見せる指のきれいさ。
・立ち去るフランツを追う全力ダッシュ
・フランツにこの危機が伝わらなかった悔しさ、無力さから膝を叩く。
ハーケンクロイツに勢いよく向かっていく激しさ。「こんなもの認めない!」って思いが表れてる。

「闇が広がる」

・イントロからの演出が天才で…。不穏なメロディと共に、ハーケンクロイツを掲げた民衆が迫ってくる。大きすぎる憎しみ・暴力を前に、ただ震えて自分を抱きしめ耐えることしかできないルドルフ。「♪ママどこ」で「寒いんだ、抱きしめてよ」と歌って同じように腕をしっかり抱く子ルドと重なる姿。
・この自分を抱きしめる手がきれい。小指から徐々に折っていく一連の指の動きが好きだった。
・トート登場。銃を見るまで「え…ごめん、誰?」って訝しげな顔しててウケました。きょもルドとりょんルドはもっと早くトートを思い出してる。
・「子供の頃のあの…」で、ハッと昔を思い出した顔になって、幼少期の寂しさが襲い掛かってきて一気に不安な表情になる。
・「不安で壊れそうだ」で自分を抱きしめる手がまた美しい。
・「誰かが叫ぶ」で目をぎゅっとつむるのマジ庇護欲。たつルドちゃん守りたい…。
・「闇が広がる」でトートと手を繋いで体を反らせるところ。芳雄トートはたつルドの手首を掴んで、ゆんトートは手をガッチリ繋ぐんですよ。Wトートとの関係性の違い!!芳雄トートは主導権を握ってる。ゆんトートは折れそうなルドを支えてあげる、押し上げるという印象。
・「この世の終わりが近い」で歌い上げた直後にがっくり膝を折るの、いい…。
・「舵を取らなくては」の、国の危機に行動するのが当たり前という帝王学が染みついてる姿がまぶしい。「取らなくては」手を前に出してグッと拳を握る力強さと、同時に痛々しさもある。
・「僕は何もできない、縛られて」で自分の首を両手でしめる仕草をするの天才で~~す。「縛られて」の前にスーッと息を吸う音が入るのも天才天才。この「縛られて」の歌い方がボロボロで、ハプスブルクという鎖に巻かれても必死に抵抗し続けて、結果諦めてしまったルドルフの絶望が伝わる。
・トートに頭を手の甲で押されるんだけど、他のルドに比べてWトートからの当たりが強かった。特に芳雄トートは激しい。
・「不幸が始まるのに」からの尻もちをついて後ろに後ずさりトートに追い込まれていく動き、夢がありすぎる。
・「見ていていいのか?」で首を横に振るの!ちゃぴシシィが「私だけに」の「嫌よ、おとなしい~」で首を横に振るのと重なった。
・トートに「未来の皇帝陛下」とキーワードを出されて目の色が変わる。本当にカッと変わる、大好き。
・「我慢できない」がたつルドの真骨頂すぎる。週刊少年ジャンプの主人公。BLEACHでいうところの始解
・ウィーン版と同じ「我慢で↑き↓なぁぁぁ↑い」になるのが何回かあって、鳥肌たった。トートに煽られて、心に火が付いたそのままの感情で歌ってるようで本当に好き。
・このあとの「闇が広がる」は一番と歌い方が違うんですよ。一番はトートだけを見ていたけど、ここでは未来を見据えている。
・「革命の歌に踊る」からまた不安になり始める。揺らいでます。
・「見過ごすのか?立ち上がれよ」の芳雄トートがスパルタで、崖から自分が突き落としたくせに安全なところから「ほら上がって来い!」って高みの見物してる。ゆんトートは階段の一段上に立って手をとって導いてくれる。
・「王座ーーーーーーー!!!」はBLEACHでいうところの卍解。ここが本当に本当に好き………。ここでたつルドに落ちた人多いんじゃないでしょうか。「王座に座るんだ」と言われてから表情の変化が見事。息を呑んで自分の運命を覚悟して、それまでハの字だった眉がキッと上がって、眼光が鋭くなって腹から声を出す。
・ここからのサビは爽快の一言。「沈む世界を救うのはお前だ」で自分の胸に拳をドンと当てる姿、責任感と自由に武者震いして笑っているように見えた。
・「皇帝ルドルフは立ち上がる」の「る」を、母音の「う」の口じゃなくて口角上げて歌い終わるの、天才じゃない?天才なんですよ。歌い始めの不安は消え去って、トートの見せてくれる未来が希望になっている。
・「立ち上がる」で拳を突き上げて歌い終わる解釈が最高。勝ちが約束されてるルドルフ。
・曲終わりでトートと見つめ合うんですけど、ゆんトートとは目が合ったら「うん」と大きく一度頷くの!めちゃめちゃ良かった。友達で近い存在だからこそ、揺らぐ部分も見せれるんだろうなと思った。でも7月後半ぐらいから、ゆんトートがより「死」そのものになってきたので、ここの頷きも見え方が変わって面白かった。「死」が側にいてくれるからこそ追い詰められて大きな決断ができる、という印象に変化した。
・ゆんたつの闇広は体育会系。「優勝目指してくぞー!オーッ!」のノリで「王座に座るぞー!」って盛り上がる。
・よしたつは芳雄トートの愛あるスパルタ指導。「王座に座るよね?座るよな?オイ。な?」って感じ。

ハンガリー独立運動

独立運動に身を投じるルドルフ。フランツの元を離れて、劇中だとほんの数分、この時間だけがルドルフの青春だったのかなと思います。エモすぎて脳みそちぎれる。
・「すまない、父を説得することができなかった!」の自責の念が激しくて、武士だったら切腹してた。イケコも何かで言ってたけど、たつルドは日本男児的なところがある。
・「ハプスブルクの崩壊防ぐため」の歌声がマジでこの世で一番真っ直ぐで泣ける。ただ本当にそれだけだったんだな。
・「独立運動と手を結ぶ必要が」の「が」を地声で出すのはきつそうだったけど、必死さが痛いほど伝わって良かった。
・「帝国政府を倒すときだ」と革命軍に歌われ、ハッと気づいて「だが私は反逆者」と否定する気持ちの変化がよく分かる表情の芝居、好きです!
・「救世主になれる」と持ち上げてもらっても「違う!」否定するんだけど、この言い方も…出自と理想の間で苦しんでいる…。
・偽の王冠を持つ成河ルキ、笑ゥせぇるすまんのようにニチャーっとしたヤバい笑顔で本当に怖かった。この王冠も、フランツが被ったものと一見同じに見えるけど、よく見ると違うんですよね…。
・「エーヤンルドルフ」で膝をつく姿が凛々しく美しくて、私がルネサンス期の貴族だったらミケランジェロを呼んで今すぐこれを彫刻にしてくれと頼みたかった。
・「ルドルフ!ルドルフ!」と煽られ、トートに「ほら」と促されて民衆を見て両手を広げるまぶしさ。全能感に溺れずに、国民のため、ハプスブルクのために強くあろうとする。恐れることなく強い瞳でリフトされる姿が本当に美しくて泣ける。
・でもまだ一瞬逡巡する…。達成くんはルドルフを特別扱いしてないんだなと思ったんですよね。本当にできるのか?僕が?と度々迷う芝居が入る。家を裏切り立場を捨て、ハンガリー国王になれるのか。一度の決意で突き進めるほど特別な人間じゃないからこんなにドラマチックになる。
・迷っていると、「さあ、今こそ共に立ち上がろう」と肩を掴まれて、振り返ると革命軍メンバーが熱のこもった目でこちらを見てくる。しかも多分エルマーはフランツと同年代でしょ。認めてほしかった父と同じ大人の男たちにここまで頼りにされたら、いっそう気持ちが盛り上がっちゃうのも納得。
・7月公演ではダンス中に何度か上を見て笑っていた。そんな顔が見れると思ってなかった。やりたいことをやって、理想を持って行動して、結果はどうであれルドルフは生きていたんだなと思って泣いた。
・銃声をきっかけに逃げ惑うとき、一瞬トートと目が合って助けを求めて手を伸ばすんだけど、今まで張り詰めていたものが切れてうわっと泣きそうな顔してて、でも届かなくて…。ここからしんどいタイムに突入します。
・検問に引っかかり名を問われ、「ハプスブルク!」と名乗る場面。自分で始めたことを自分の一言で終わらせるのが本当にきつい。言ってほしくないし、言わせるなんて酷なことさせたくなかった。この一言がどんな意味を持つのか分かりすぎているから、弱々しくなんて言えないんだよねたつルドは。そういうところが好き!!
・万里生フランツの「血を分けた息子に裏切られる日が来ようとは」が苦々しすぎ…血も涙もない。平方フランツは「息子に裏切られたショックと、そうさせてしまった自分への悔い」が感じられる言い方。これはWフランツのハプスブルクという血筋の捉え方の違いからくるものだと思う。万里生フランツは骨の髄まで皇帝。どうしてもハプスブルク優先の考え方。平方フランツは申し訳ないけど皇帝向きの性格には見えないので、息子の反発も分かるけど、皇帝としてケジメも必要という葛藤で苦しんでいる。
・6月の開幕したばかりの頃、一回だけたつルドが「父上ーーっ!」って叫んでたことがあった。なんでこの危機が分からないんだという怒りが前面に出て、これが特に好きだった。泣きながら「ちちうえぇっ…」だったり、虚無の「父上…」だったり、いろんな感情を見せてくれました。握った拳をブルブル震わせながら、うつむいて「ちちうえぇっ…」って泣くのは、もう無力感とか、一番分かってほしい人に分かってもらえないつらさがグチャグチャになっててしんどい。虚無の「父上…」は本当に無、空っぽ。さっきまでキラキラした目で国のため家のために頑張っていた姿との差がつらい。ここで虚無だと死に際に嗤うことが多いので、ゾワゾワとした嫌な予感がずっと続くことになる。

「僕はママの鏡だから」

・インタビュー記事で達成くんが「本当にママと僕は鏡同士だとは思っていない」と言ってたのが印象に残ってます。確かにたつルドちゃんは、他のルドルフに比べてパパ依存型。「僕はママの鏡だから、ママは僕の思い全て分かるはず」は、鏡に自分を映したらママが見える、ママも僕が見えるでしょ?という意味ではなく聞こえるんですよね。「この世界で安らげる居所がない」の苦しみをママと僕は共有できるはず、って言いたいように聞こえた。
・「わからないわ、久しぶりなのよ」って分からない理由に時間軸を持ち出すシシィは本当にずるい。そういうこと言ってんじゃないんだよたつルドちゃんは。分かる、分からないに時間は関係ないはずだよ…。
・「打ち明けるよ」の言い方もいろいろあった。それまでボロボロだったのに突然冷静になって「打ち明けるよ」と言うときは、独立運動成功の最後の望みを繋ぐためにシシィを説得する策士のように見えたこともあった。「打ち明けるよ…?」って弱く優しく言うのは、これまでママに話を聞いてもらえたことがなくて、これが最後の一回だから「聞いてね?」って、拒否されるのを恐れているようだった。
・責任感と帝王学に燃える青年と、幼少期の欠落感が同居していて、ガソリンがもう底を尽きているのに走り続けてるようで悲しい。
・「今ハプスブルクを滅亡から救える道はない」でシシィの手を取る姿が美しい。かなり力を入れて手を握っていたみたいで、花總さんが「振りほどくのが大変」って言ってて泣いた。「滅亡から」は最後のお願いって伝わる歌い方をしてるんですよ、泣いた。
・「鎖は断ち切られた」でシシィから手をほどかれて、何が起きたのか分からないみたいに「え…?」って顔してるの…。しかもオフマイクで「ママ…ママ…」って言ってるんですよ!!
・「ママも…僕を見捨てるんだね」の言い方もいろいろありましたね。「ママも」までは拒否されたショックを引きずってるんだけど、「僕を見捨てるんだね」から突然の虚無で、悲しいという感情さえ奪われていたときはゾッとした。生命力に溢れた姿を知っているから余計に。逆に一気に感情が溢れて泣き出したときは、あああたつルドちゃんよちよちで庇護欲爆発でした。たつルド~~泣かない~で~。

マイヤーリンク

上着脱ぎタイム。白シャツの眩しさ。ここからどんどん顔色が悪くなり、汗をかいてテカテカのはずなのに肌ツヤがなくなっていく。
・飛び散る汗、体質に感謝。汗が飛び散れば飛び散るほど命の最後のきらめきのようでエモさが極まってた。ダイナミックなダンスがたつルドの生き方そのものを表しているようでした。ラストスパートとでもいうように体が動く動く。
・踊っていながらも表情はしっかり芝居が続いていてすごかった…本当に良い顔をするんですよね。
・ダンスが終わって、前に出した手を自分の体の一部じゃないみたいに押さえつけて、左に差し出された銃を目だけで追うときのピンと張り詰めたような緊張感がたまらない。
・ここからの表情の変化がもう…すごいの!眉をハの字にしてたのに、銃を目にするとフッと魂が抜けたような、沸騰してたお湯が瞬時に凍ったみたいな。銃を見る目に恐れはなくて、ずっと求めていた「何か」を友だちから受け取った顔。
・黄泉キスで一番狂ったのは、たつルドから行ったら芳雄さんに顎をガッチリ押さえられたやつですね。あくまで与えられる死なんだぞと。
・唇が離れて目を閉じたまま撃鉄を起こす、カチャという小さい音が劇場にやたらと大きく響く。開いた目が激しすぎてオタクは死ぬ。自分が死ぬ意味をよく分かってる目をしてる。自分の死が社会にどんな影響を与えるのか、冷静に分かっている。
・頭を撃ち抜く直前に口がニタリと三日月型になるのが見た回数のうち半分ぐらいで、初見の衝撃やばかった。どういうこと?今笑ったよね?笑うっていうか嗤ったよね?きょもルドみたいに安らぎの笑みじゃない。自分の死をもってハプスブルクに罰を!呪いを!って感じで、めちゃくちゃホラーだった。滅びの美学とでも言うのかな。自分が死んでも国の崩壊が止まらないことを確信している。逃げの自殺じゃない。自分の短い生涯への虚しさや、生まれた環境と時代への嘲りを表した皮肉っぽい嗤い。
・嗤わない時ももちろんあった。本当にカラッカラに出し切って、感情が何も残ってない、無のとき。パパとママに突き放されたところから虚無が積み重なって、ここで心がバキバキに壊れた。
・達成くん、自分で頭を撃ち抜く動きが上手すぎます。撃った衝撃で頭を吹き飛ばす動きが上手いってなんなんだ。頭を振ったときに汗がまたビシャッと飛び散るんですよ。汗じゃなくてもはや脳漿か血に見える。天才、体質に感謝。
・TDにリフトされて棺に入るとき、口が開いたままでモゴモゴ動いちゃったときがありました。
・たつルドはハプスブルクの執事やメイドに「どうしたのかしら…自殺なんてするような方じゃなかったのに…」って言われてそう。文武両道で、体も精神も健康に育ち、青い軍服が似合う精悍な皇太子だったのに、と。

「悪夢」

・フランツから一瞬も目を離さない。怖すぎる。怨念が強い。周りのキャストがルキーニを見てても、ルドルフだけはフランツをずっと目で追ってる。ルキーニが「続けるぞ」と言ってフランツを上手に押し退けるんだけど、顔を動かさず眼球だけでフランツを追いかけていた。
・ここまでフランツに執着してるのも納得なんですよね。たつルドの原動力は父への反発心だから。自分の方が国の現状を冷静に分析できているのに。自分ならもっと上手くやれるのに、みたいな焦燥感と苛立ちが登場シーンでずっと続いていたから。


2020エリザにたつルドがいないのは残念ですが、今年死ぬほど見たので亡霊にならずに済みました。悔いを残すと無界屋蘭兵衛みたいになるからね。(from中島かずき)
https://twitter.com/k_z_ki/status/1196298242423570433

芳雄さんが2019エリザの制作発表で「死を描くとはどう生きたかを描くこと」と話されてたんだけど、この解釈が個人的にとても好きです。そしてたつルドはまさにこれを体現してたなと思う。
たつルドの疾走感、生き様のスピード感がめちゃくちゃ好きでした。ロックでエモくて、屋上へ続く階段を一気に駆け上がってそのまま青空に向かってダイブするような、鮮やかな人生だった。青春を生ききったまっすぐな輝きが好きでした。向かう先が終わりだと気付いてもエンジン全開で、夢を見て泣いて恨んで死ぬ瞬間まで命を燃やすたつルドが好きでした。
たつルドForever!!愛してる!!!!