from heart beat

観たものについて書いたり書かなかったりします。

"クリスマスの夜に始める"コンサート

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甲斐翔真くん初のミュージカルコンサート、「KAI SHOUMA MUSICAL CONCERT on Christmas Day 2021 Featuring MAAYA KIHO and HIRAMA SOICHI」マチソワ行っていました(公式タイトルが長い)。
「とにかく好きなことをやる」と宣言していたこのコンサート。いろいろな意味で(口が悪いけど)バカみたいなセトリだった。ビッグナンバーだらけでひとつひとつの選曲にエピソードがあって、ミュージカル愛爆発してるセトリ。人生で一番幸せなクリスマスになりました。
マチソワのMCゴチャまぜでの感想です。

1.Tune up#1〜Rent/RENT(平間マーク・甲斐ロジャー)

客入れの音楽が突然切れて、客電もふっと落ち、甲斐翔真にしては小さいシルエットが真ん中に歩いてきてそれが平間壮一くんだと気づいた瞬間、本能的に「あ、来る」と思った。「RENT」本公演と同じ始まり方。笑顔で手を上げる平間マーク。ブレーカーが落ちる演出もありました。「クリスマスイブの夜に始める」を「クリスマスの夜に始める」に変えるセンスよ。ミュージカルコンサートで主役以外が開幕させたらいけない?うるせ~~!!知らね~~~~!!!!って気合を感じた(そこまでは言ってない)。
この「RENT」でのコンサート開幕は、甲斐翔真自身が絶対にやりたかったことだそうで。理由は「コロナの影響で2020RENTは2週間でクローズしてしまった。見られなかった人も多かっただろうから、クリスマスにコンサートをやるからには絶ッッ対にこの始め方にしたかった」と。なんて心遣いなんだ~~~(泣)ていうか、オタクたちも「クリスマス当日にやるんだから、RENTの冒頭と同じ始まり方だったりしてね~笑」って冗談半分で言ってる人はいたじゃないですか。まさか現実になるとは。甲斐翔真さん思考がオタクじゃん!!
フォーマルな衣装を着ていても、この二人が歌いだせばマークとロジャーになるんだなと思い知らされた。生命力がほとばしる。一度手からすり抜けたものを取り返してやる!って昂りを感じさせるデュエットでした。

2.普通の人生/マタハリ

オタクが散々甲斐アルマン甲斐アルマン鳴いてるの見てた?「マタハリ」を観劇してこの曲を「絶ッッ対に歌いたい!」と思ったそう。カーテンコールでアルマンが出てくるときの曲もこれで、それで鳥肌が立ったと。儚げなファルセットと真っすぐな目が印象に残りました。出演したいから柚希礼音さんにごますっておいたらしいです。

3.君の夢の中で/フランケンシュタイン

「フランケンから歌う」という直前のMCだけで震えが止まらなかったけど、この前奏で叫びそうだった。私が甲斐ビクターを求めすぎているせいで、アンリの曲を歌うという選択肢が全く頭になかった。
「まるで奇跡だ」からどこかスッキリしていて、死ぬ覚悟ができてる顔の甲斐アンリ。神曲を好きな男の声で聴けるって最高のプレゼントですね。1番のみで終わってしまって、ラストの「生きようーーーーー!」をどう上げるのか気になって夜も眠れないので早くフルで聴かせてくれ。パク・ウンテさんと同じ音まで上げますか???「October Sky」で一緒にお仕事した際に、フランケン演出の板垣さんに出演したいとごますっておいたらしいです。
(ステージナタリーの記事の、「いつかビクターをやりたい」発言をTwitterの固定ツイートにするほど私は喜び散らかして五体投地してたんですね。でも今日のMCで「自分はアンリがやりたいんですが、口から出たのはアンリじゃなくビクターだったみたいです…僕がやりたいのはアンリです!アンリと怪物がやりたいです!」と元気よく宣言していて。え~~~~~~~~~~~~~~??????世界がひっくり返った。私の気狂いはなんだったんだ。いや、フランケン出演してくれるならなんでもいいんだけどさ…)
natalie.mu

4.지금 이 순간/ジキル&ハイド

絶対韓国語で歌うと思ってた。こんな序盤にやる曲じゃないし、ここまでのセトリで甲斐翔真の辞書にブレーキって言葉は載ってないんだなと思った。甲斐翔真の中で表現したいドラマが出来上がっていて、歌い込んでるのがビシバシ伝わってきました。

5.'Til I Hear You Sing/LOVE NEVER DIES 英語歌唱

ラミンがやった役から何か歌うとは思ってたけど、'Til I〜だった!「Music of The Night」を予想してました。つい先日、劇団四季「アンマスクド」で飯田お兄さんの歌唱を聴いてしまったのでまずいなと思ったんだけど、英語歌唱だしラミンに寄せた歌い方で、違った視点で楽しめました。今まで聴いたことのない発声で、英語というのも影響しているのかな?上質なビロードが折り重なったような、重みと艶のある声だった。24歳に出せる声じゃないんよ…。
この曲を歌うと決まってから、返ってこないだろうと思いながらもラミンに(インスタとかで?)メッセージを送ったら、まさかの返信があり、長文でアドバイスをくれたと興奮気味に話してました。ラミン本当にありがとうございます…。「君なら大丈夫、とにかく物語を伝えることだ」との内容だったそうで。最後の「once more」の手を伸ばした先にクリスティーヌがいるのが分かったよ。

6.デスノート/デスノート

甲斐翔真が夜神月になる瞬間を見てしまった。青いライトに照らされ、目を閉じてひとつ呼吸をして、目を開けたらもう夜神月がそこにいた。パッと切り替わるんじゃなくて、甲斐翔真という人間を元にスライドしていったような印象。人を殺した戸惑いと不安の中に、正義を振りかざした狂気の種火が燃えていた。
2020年1月の公演当時より抜群に上手くなってました。感情を差し込む余裕が大きくなってたというか。再演絶対にやってほしい。

7.ヤツの中へ/デスノート(甲斐ライト・平間L)

これ私のタイムラインで複数人が希望出してた曲と組み合わせで、思わず草生やしたしフォロイーの命が心配になった。
平間Lを本役で見たくなってしまった。かなり好戦的なLで、ネコ科の獣がしなやかに地面を這って獲物に食らいつくタイミングを計っているような、野性味のあるL。ポケットに手を突っ込んで首をぐるりと回す仕草を目の前で食らって息が止まった。平間Lがかなりひねくれていたので、逆に甲斐ラが正攻法で攻めてるように見えたのが面白かった。「息の根をーーーー!」の上げはいつ聞いても景気がいいですね!!これで年明けしたい!!

8.One Song Glory/RENT

いや前曲からのギャップ。
真っすぐな目で憧れに手を伸ばすのも大好きだけど、この曲みたいな焦燥感で生きづらそうな表現も上手いんですよね。酸素が薄いところでもがいてるような表情にこっちも苦しくなる。

9.遠い稲妻/マリーアントワネット

いや前曲からのギャップ。
さすがに声の出し方が違いすぎるのか、ちょこちょこしんどそうだったけど歌いながら修正してたように聴こえた。今年の3月よりも確実に上手くなっていて何なんだろうこの子…と思いました。同じ衣装とセットのはずなのに、ロックシンガーだったりヨーロッパ貴族だったり、作品の色がしっかり伝わる歌唱の表現力お見事でした。

10.エメ/ロミオ&ジュリエット(甲斐ロミオ・真彩ジュリエット)

正直今年のロミジュリの「エメ」はジュリエットの歌唱に満足できてはいなかったので、真彩ジュリでやっと胸のつかえがおりたような気がしました。真彩さんありがとうございます…。真っ白で透明感のあるデュエット、この世で一番幸福な二人。まるで今世界に二人だ、だよ(それはデスミュ)。「声を合わせるのが楽しすぎてリハで何度も結婚式挙げました」と笑顔でMCする大型犬甲斐翔真がとても可愛かった。

11.Think of me/オペラ座の怪人(真彩クリスティーヌ)

きれい、可愛い、歌が上手い。真彩希帆さんはじめましてだったんですが、上手く言えないけど音楽と一体になって歌う方だなあと思った。音楽と相思相愛というか。

12.未来は最高!/The View Upstairs(平間ウエス)

明るい曲を装った激重ソングだと思ってるけどどうなんですか?曲の終わり方が不協和音で不穏すぎたのよ。「薬で気持ちが楽になる」とか「SNSで嫌なことがあったら一晩寝てブロックしろ」とか言ってたような、不穏!本公演が楽しみになりました。

13.Waving Through a Window/DEAR EVAN HANSEN 英語歌唱

端折られ方がエグかった。1番が終わって大サビの「on the outside~」まですっ飛んだかと思ったら直後に張り上げる「waving, waving oh」まで飛んだ。いつかフルで聴きたい!
「曲は本当に好きだけど、自分はどう見てもいじめられっ子には見えないからエヴァン役はできないだろう」と話しながらも、歌い出しは背中を丸めて周囲を窺うようにおどおどして、しっかりエヴァンに入ってたのが愛だった。

14.Santa Fe/ニュージーズ 英語歌唱

得意の憧れソング!この曲も劇場で聴いて「絶ッッ対に歌いたい!」と思ったと話してました。歌う前にイケコからきちんと許可をもらったらしい。

15.Go the Distance/ヘラクレス 英語歌唱

選曲にびっくりしたけど「ニュージーズ」からのアラン・メンケン繋がりだったらしい。こういう、彼方に希望を見出して絶対掴むと決意する曲が本当に上手いですね…。

16.Rewrite the Stars/The Greatest Showman(甲斐フィリップ・真彩アン) 英語歌唱

グレショ見たことないからなんの曲か分からなかったけど、マチソワ間に連番したフォロワーに解説してもらいました。すれ違ったり向き合ったりして気持ちと声をぶつけ合うステージングがとても良かった。これも甲斐翔真たっての希望だったらしいです。こだわり強めで良き。「Think of me」でソプラノを響かせまくった真彩さん、突き刺すような歌い方のこちらも見られて得した気分。

17.I'm Alive/Next to Normal

スタンドマイクで歌ってくれた!スタンドマイクを扱う仕草が癖なのでぶち上がりました。今日の時点でかなり乗りこなしてるように聴こえたけど、役が入ってどう変わるのかとても楽しみ。

18.星を見上げて/October Sky

本番とほぼ同じステージングで、この曲だけ会場がシアターコクーンになった。表情も完全にホーマーだったなあ。「星の下で同じ夢を見てる この世界と僕は繋がってる」の何か確実なものを手にした充実感のあるホーマーの表情がとても好きだったんだけど、それも健在でした。
スタッフさんがステージ後ろの幕に散りばめてくれた星が、1番の「星見上げれば 未来はすぐそこに」で光り始めたんですね。リハの時点では星はなかったらしく、嬉しい本番でのサプライズを「素敵なクリスマスプレゼントをもらいました」と表現する甲斐翔真、心が美しいよ…。

19.Louder Than Words/tick, tick… BOOM!(甲斐・平間・真彩)

インスタでこの曲が好きってアップして匂わせてた!やられた!!「今の時代にふさわしい曲だと思います」と紹介してました。
TTBは映画館で見れて、私はこの曲のフレーズ「cages or wings?」が特に印象に残っていた。いつかのインタビューで甲斐翔真が話していた、「失敗を恐れない」って言葉を思い出しました。…この曲、歌詞を読めば読むほど甲斐翔真の曲じゃない!?(面倒くさオタク)訳詞が素敵だったので日本語歌詞の音源欲しい。ラストの「Happy Birthday」のメロディを「ジングルベル」の鈴の音に変えるアレンジが大天才だった。

MCで好きだったところ

・うろうろ歩きながら喋り、「なんだかスティーブ・ジョブズみたいですね」とぼそっと呟く。
・「next to normal」で望海風斗さんと共演するという話。だいきほコンビで先に真彩さんが共演してくれたことについてひと言「味見」と。
・「かれこれ3年ぐらい韓国語で歌い続けて温めてきた"時が来た"を披露する"時が来た"っていう……若干スベりました」
・「僕のことをどこから知ってくれていますか?」の質問を自分からしたのに、「どの作品を見に来てくれましたか?」と勘違いして「October Sky」で観客のリアクションが全くなくて凹んでた。でも後ろで、オクトーバーで共演したキーボード&リードの金山さんが小さく拍手してくれてた!優しい…。
・そのあと(恐らく袖でスタッフさんからフォローがあったのか)「勘違いしてました!皆さんOctober Skyは見に来てくれましたか?」と聞いて大きな拍手が返ってきて満足そうにニコニコしていたところまでセット。
・ステージ上のテーブルに置いてあった汗拭きグッズがフォーマルなハンカチとかじゃなくガチのフェイスタオル。

まとめ(ポエム)

出演作がまだ少ないおかげでセトリが過去作に縛られすぎなくて、MCで何度も繰り返していたように「絶ッッ対に歌いたい!」曲ばかりの宝箱みたいな公演。甲斐翔真くんはミュージカルを愛しているし、その愛がいろんな繋がりを生んで今回のコンサートが成功したんだなと思えて、こんな美しいことってそれ自体がミュージカルみたいだなって(?)、本当に嬉しくて幸せな気持ちになりました。共演したことない真彩さんが出演してくれたこと、ラミンがメッセージをくれたこと、「October Sky」のバンドの方々が今回も参加してくれたこと。We are the world. Life is beautiful.(??)
ソワレのカーテンコールで「終わっちゃいますよ…」と思わず口に出した、充実感に満ちてホッとしたようなでも寂しそうな表情が忘れられない。甲斐翔真の存在がもっともっと多くの人に知られてほしいし、愛される役者になってほしいし、絶対そうなれるし、なるべき人だなって心から思った。
エンジン全開で力を抜くってことを知らないマチネ。ちょっと飛ばしすぎて空回り気味だったとマチネを振り返り、より役に寄り添った歌い方に変わったソワレ、どちらも愛おしかった。24歳の初ミュージカルコンサートという、今この瞬間にしかできないパフォーマンスだった。刻まれてずっとずっと輝き続ける時間になりました。

甲斐翔真くん、2021年はたくさんの感動と出会わせてくれてありがとうございました。来年もきみのミュージカル人生にたくさんの幸せと出会いと希望が降り注ぎ、きみが痛めつけられたり傷つけられたりすることなく、伸び伸びと健やかにステージに立ち続けられることを心から祈り応援しています。