from heart beat

観たものについて書いたり書かなかったりします。

6~9月あたりに見たもの感想

「October sky」が始まったら記憶が飛びそうなので、ロミジュリからここまでの観劇記録を残しておきます。

 

・ミュージカル「マタハリ

愛希/加藤/東、愛希/田代/東で計2回見た。「フラッシュダンス」でも心奪われたけど、ちゃぴちゃんの肉体は本当にスペシャル美しい…。奇異の目で見られても、濡れ衣を着せられ戦犯だと侮辱されても汚れないマタの魂が、ちゃぴマタの目や凛とした佇まいから伝わってきた。
とんちゃんも良かった~「普通の人生」の熱量が突き刺さりました。マタといるときの穏やかな目と、パイロットとしての覚悟の顔の差が印象的です。
ラドゥ2人も全然違って面白かった。裁判後、奥のセットに上がって(恐らく自室)ベッドに座ったあと、加藤ラドゥはそのまま銃で頭を撃ち抜いて死ぬんじゃないかと思ったんだけど、万里生ラドゥはズルズル生きていくんだろうなって印象でした。JtRでモンローを見た今だから思うけど、万里生さんが意地汚い役をやると突き抜けてむしろ真っ当に見えてくるところが面白い。


・首切り王子と愚かな女

伊藤沙莉さんと芳雄さんの化学反応の大勝利。沙莉さんの骨の太さ、舞台の地下まで深く根を張るような芝居のおかげで、ファンタジー設定なのに現実を生きる生命力がほとばしる不思議な作品だった。やっぱり蓬莱竜太の書くものに間違いないよ~。芳雄さんをストレートプレイで見るのは「1984」ぶりかな。一応設定は王子だけど、周りとズレていたり子供っぽかったりコロコロと表情が変わる役で、こっちの芳雄さんも好きだなと思いました。玉座も地べたもいけるの強い。


NODA・MAP「フェイクスピア」

初野田地図でした。途中で題材に気づいたときの衝撃。


シス・カンパニー「日本の歴史」

WOWOWで初演の放送を見ていて、生観劇はこの再演が初でした。めちゃめちゃ面白かった!西部開拓時代のとある地主家族とその小作人の歴史と、日本史が見事にリンクして進む脚本で、展開を知っていてもぐんぐん引き込まれる。
劇中「あなたが悩んでいることは他の誰かが悩んだ悩み」の歌詞が何度も繰り返されるんだけど、国も時代も違う登場人物の境遇がこんなにシンプルな言葉で繋がる構造、三谷幸喜スゲーのよ…。
さらにこれをたった7人で演じ分けてるって信じられない、全員芸達者すぎる。音楽も素晴らしくて、見たあとに口ずさんじゃう曲が誰しも1曲はあると思う。私は「INGA 因果」も「俺平清盛だ~」も好きだけど、一番はダントツで「俺は織田上総介平信長~」です。新納さんのスタイリストで超笑った、「かしこまりました~↑↑」。


・クロードと一緒に

旧演出版の「お前らには絶対わからない」と観客を突き放す終わり方が好きだったので、今回はイーヴに同情的すぎてう~ん?だったかなあ。溝口イーヴも旧演出版で見たかった。


ジーザス・クライスト=スーパースターinコンサート

歌が上手すぎて手が勝手に拍手してた。柿澤シモンは視線泥棒。


・ミュージカル「ピーターパン」

デスミュのミサミサが良かった吉柳咲良さんのピーターが見たくて。歌も芝居も安定してるのに跳ねるわ飛ぶわで引力がすごかった!藤田俊太郎版を見ていないから比較はできないけど、布やパペットを使う今回からの森新太郎版は演劇の原体験って感じでワクワクした。
「ピーターパン」って空を飛ぶことの習熟度合いがピーターと子供たちで違うと思うんだけど、それが各々のフライングにも表れていたのが本当にすごかった。ピーターはふわっと、歩行そのままのように自分でコントロールして飛ぶのに対して、子供たちはビューン!と他からの力に引っ張られて浮き上がる。飛び方で芝居ってできるんだと衝撃を受けました。


・ミュージカル「王家の紋章

海宝/木下/朝夏/平方、海宝/木下/新妻/大貫で計2回見た。上手く言えないけど、1回目は演劇でやろうとしてる人と2.5次元でやろうとしてる人がいて、それがちぐはぐさを生んでいたのが、2回目は完全に「2.5次元作品」としてまとまっていて、その成熟が面白かったですねー(この「2.5次元作品」は、原作がどうのではなく人物の立ち上げ方がアニメ/漫画っぽいかどうかについて言っています)。特に海宝くんの芝居が変わったなあと思った。
そういう意味で、前山剛久さんのルカが一貫してとても好きだった!妖しさ1億点の声色に、ディズニーヴィランのような片眉上げのニヤリ笑いも毎瞬間完璧に決まってた。
あと初演ではあまり印象に残ってなかったセチくん!めちゃめちゃ良い役でしたね。メンフィスのソロ曲での踊りが特に良くて、2人の地位に天と地ほどの差はあれど、キャロルを思う心は同じっていうのが分かる演出で好きでした。演じられてた坂口湧久さん、心身ともに成長期ですって雰囲気だったので、そんな子が鞭打ちされたり嬉しそうに「兵士に取り立ててもらったんだ!」って言う場面は見てて苦しかったな…。


・ミュージカル「ジェイミー」

f:id:thabu:20210828113634j:plain

開幕直後のカテコ撮影OK期間に撮った。

颯くん、ウィンくん両方見ました。他キャストは矢部/田村/樋口/吉野で固定。好きなミュージカルのかなり上位に入ってきた。いわゆるドラァグクイーンものだし、「キンキーブーツ」みたいなブチ上がって元気が出る感じなのかなと思って行ったんですけど、全然違った。「キンキー」のメッセージは(6つのステップもあるけど)「ありのままの他人を受け入れる」。「ジェイミー」にもいろんな言葉がある中で私が一番に感じたのは「あなたの美しさに気づいて」かなあ。とにかく徹底的に自分と向き合う話だった。強く生きよう!へこたれない!っていうんじゃない。傷つけてくる人はいるけど、自分で自分を抱きしめてあげられるなら人生なんとか大丈夫になるよ、って言ってくれた。
ウィンジェイミーは自分のことをチワワだと思い込んでるドーベルマン。生きていく強い自信を持っているはずなのに、トラウマの殻が分厚すぎて自分でも自信が見つけ出せなくなってる。その殻を少しずつ崩していく話だった。大らかなのに狭い箱に押し込められてる感じ。
颯ジェイミーは生まれたてだけど威勢だけは一人前なチワワ。赤ちゃんみたいに無防備なのに、傷つくのを恐れず走り回って結局傷つく。神経質で繊細な心を持ってて、生きていくための自信を肉付けしていく話だった。ジェイミー2人の個性のおかげで、それぞれで主軸が違う話のように思えたのも楽しかったです。
田村芽実さんのプリティも超~良かった!「脳みそが学校向けにできてないだけ」とか「自分の生き方を全うするのに許可なんかいらない」とか、学生時代にその言葉をもらってたら私もどれだけ生きやすくなっただろう。芽実ちゃんが力まず真っすぐに投げかけてくれるから心にスパーンと届きました。
そしてヒューゴ/ロコ・シャネルの石川禅さん大大大優勝。包容力って言葉じゃ言い表せないぐらい、慈しみにあふれた人。家出したジェイミーと話すバス停のシーンが大好き。ジェイミーを後ろから抱きしめると、もう~なんて言うんだろうね、大丈夫だよ、大丈夫だよっていう体温が客席に伝わるんですよ。


劇団四季アナと雪の女王

1幕ラストの演出、最新技術と自社劇場の強みの重ね技でタコ殴りにされて気持ちよすぎた。ロマンス色よりも「姉妹の話」感が前面に出ていて好きでした。アナとハンスのアクロバティックなダンス、あのドレスのまま踊れるのどうなっとるんじゃ。「ヒュッゲ」の裸タイツ&アキラ100%芸はかなり引いちゃったけどあれでいいの?(演出BW版から変えられないんだろうけど…)

 

・REON JACK4

甲斐翔真ゲスト回をマチソワしました。ソロ曲は「僕の願い」、柚希礼音さんとのデュエットで「世界の王」。「僕の願い」とはね~思わないですよ…やられた…。夜公演での歌い方が昼と全く違った。表現してるものも違って、昼はとにかくのびのびと、純粋な憧れや期待を胸に抱いて、夜は外の人間への恐れやそれでも踏み出したいっていう葛藤も見えてきました。夜の方がカジモドっぽかった。こんなの聴かされたらますます好きになっちゃうな~。
コンサート自体は、とにかく柚希さんが歌って踊ってしゃべって、休みなくパフォーマンスしていて体力無限にあるの!?と思っちゃった。すごい…。


・ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー

木村/松下/加藤で見た。かなりポップではっちゃけた話で、いい意味で観劇前のイメージを裏切られた。欲望のままに行動してるキャラクターが多かったからかな。ただ話の根幹であるダニエルとグロリアの関係が弱く見えたのが残念でした。あとダニエルは臓器を手に入れてすぐグロリアの手術をしなかったのはなぜなんですかね?複数の臓器が必要でも、あれだけ殺してるならすぐ揃いそうだけど。
フィナーレの「ソロ曲の良いとこ取りメドレー」みたいなの超テンション上がったからほかの陽キャな作品でも真似してほしい。


シス・カンパニー「友達」

山崎一キムラ緑子浅野和之(敬称略)のいる狂人集団に絡まれて勝てるわけがない。「私もこうなるかも」とか身近さな怖さではなく、完全に残暑の異世界ホラー。なんの特別さもない日常会話の中にズレを仕込むの、上演台本といえど加藤拓也のいつもの手口じゃん…。


劇団☆新感線「狐晴明九尾狩」

中村倫也さんが平安貴族の衣装で印を結んで「急急如律令!」って唱えるなんて、そんなことあっていいのか。「左に青龍、右に白虎~」も悦すぎて思わず赤坂ACTシアターの椅子に沈んだ。ここで十分萌えてたけど、最後の感情失くしをやらせたいがための倫也だったんじゃないですか、ええ?ストーリーとしては、もうちょっと業!って感じの方が好きだったかなあ。
耳と尻尾の生えた真っすぐ騙されやすいバカキャラの早乙女友貴さんも結構きましたね…謝ったり反省すると耳がきゅ~んと垂れるギミック入れるアイデア出した人偉い。しかも耳を操作するものが胸付近に入ってるから、垂れさせる度に胸に手を当てて省みてるようなポーズになって可愛さ倍増でした。